雨が降れば

心に響いた一節を紹介します。
雨が降れば傘をさす。傘がなければ風呂敷でもかぶる。それもなければぬれるしか仕方がない。
雨の日に傘がないのは、天気のときに油断して、その用意をしなかったからだ。雨にぬれて、はじめて傘の必要を知る。そして次の雨にはぬれないように考える。雨があがれば、何をおいても傘の用意をしようと決意する。これも、やはり、人生の一つの教えである。
わかりきったことながら、世の中にはそして人生には、晴れの日もあれば雨の日もある。好調の時もあれば、不調の時もある。にもかかわらず、晴れの日が少しつづくと、つい雨の日を忘れがちになる。好調の波がつづくと、ついゆきすぎる。油断する。これも人間の一つの姿であろうか。
(中略)
雨が降れば傘をさそう。傘がなければなら、一度はぬれるのもしかたがない。ただ、雨があがるのを待って、二度と再び雨にぬれない用意だけは心がけたい。雨の傘、仕事の傘、人生の傘、いずれにしても傘は大事なものである。
道をひらく 松下幸之助

雨にぬれてはじめて傘の必要を知る。また、しばらく晴れがつづくと、雨の日を忘れる。これと同じことを日頃してはいないだろうか。一度傘の必要を知ったならば、二度と雨にあたらぬよう、油断せず時折振り返り、備えを確かめなければならない。奢らず、ゆきすぎず、傘を大切にしよう。

この「言葉」から

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