風が吹けば
心に響いた一節を紹介します。
風が吹けば波が立つ。波が立てば船も揺れる。揺れるよりも揺れないほうがよいけれど、風が強く波が大きければ、何万トンの船でも、ちょっとも揺れないわけにはゆくまい。これを強いて止めようとすれば、かえってムリを生じる。ムリを通せば船がこわれる。揺れなければならぬときにはゆれてもよかろう。これも一つの考え方。
大切なことは、うろたえないことである。あわてないことである。うろたえては、かえって進路を誤る。そして、沈めなくてよい船でも、沈めてしまう結果になりかねない。すべての人が冷静に、そして忠実にそれぞれの職務を果たせばよい。ここに全員の力強い協力が生まれてくるのである。
嵐のときほど、協力が尊ばれるときはない。うろたえては、この協力がこわされる。だから、揺れることを恐れるよりも、協力がこわされることを恐れたほうがいい。(後略)
「道をひらく 松下幸之助」
経営、人生もまたしかりではあるが、風が吹かない時などない。耐震の建物同様、よく揺れる建物ほど壊れないという。流れに任せて揺れに慌てず、どっしりと構えるべきなのだ。協力があれば乗り越えられるのだ。しっかりとこの言葉を受け止めたいものである。