若葉の峠
心に響いた一節をご紹介します。
峠から峠に移る旅路かな―いつ聞いたのか、どこで読んだのか、もうすっかり忘れてしまったが、このことばだけは今も忘れずに、時折の感慨にフト頭をかすめてゆく。
一つの峠を越えてホッと息をついたら、また次に峠が控えていて、その峠を越えると、やっぱり次にまた峠が続いていて、だからとめどもなく峠がつづいて、果てしない旅路である。
これもまた人生に一つの真実である。真実であるかぎり、これは誰も避けられない。避けられなければ、やはりただ懸命に歩むほかないであろう。(中略)
それでも元気で懸命に、越えられるだけの峠を越え、歩めるだけの旅路を歩
みたい。
若葉の峠に、また新しい意欲をおぼえるのである。
松下幸之助 道をひらく
学生の頃、自転車で日本中を旅していました。峠までの距離は、ひとペダルごとに確実に縮まっていき、峠の頂に立ったときの爽快感は今も心に残っています。その時の苦労は相当なものでしたが、不思議と旅を終える頃には次の旅のことを考えていたものです。これからの人生にも多くの峠が待っていることでしょう。意欲をもって進みます。