世の宝

心に響いた一節を紹介します。
明智左馬之介光春が、堀監物に城を完全に包囲され、今はこれまでと観念したとき、城内にあった数々の秘蔵の名器を場外におろし出し、「あたら灰となすに忍びぬ品々、貴公の手を経て世にお戻しいたしたい。お受け取りあれや」といったことは、『太閤記』にもある有名な話である。
(中略)
私心にとらわれることなく、いまわの際まで公の立場に立って判断し、処置を誤らなかったこの光春の態度には、長い歴史に培われた日本人本来の真価がうかがえると思う。
世の宝は何も秘蔵の名器だけではない。おたがいに与えられている日々の仕事は、これすべて世の宝である。世の宝と観じて、私心にとらわれることのない働きをすすめてゆくために、光春のふるまいを今日もなお、大いに範としたいものである。
道をひらく 松下幸之助

「おたがいに与えれている仕事は、世の宝」という松下翁の言葉。行っている仕事は、必ず誰かの役に立っている。誰かの役に立っていることを想うと仕事にも自然と張りができる。自然と工夫が生まれることにもつながるのではないか。意識する気持ちが大切である。また一つ教わりました。

この「言葉」から

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