こんな「敵対的表現」を無意識に使っていないか

心に響いた一節を紹介します。
一つ注意すべきことは、仕事で有効なメタファーを家庭に持ち込むと大変なことになるということだ。
知り合いの女性弁護士は、法廷では非常に効果を発揮する「敵対的表現」を家庭でも使っていたため、彼女の夫は証言台に立たされて、反対尋問を受けている気分にさせられた。(中略)
警察官なども注意が必要だ。家に帰っても仕事のことが頭から離れないと、家族が自分の決めたルールに違反していないか、油断なく見張るような態度を取るかもしれない。
ある男性は家にいても他人行儀で、家族との心の交流が全くなかった。感じたままを表に出すことがなく、いつも命令口調だったという。
この人は航空管制官だった。職業柄、仕事中は常に冷静でなければならない。たとえ緊急事態であっても、決して動揺が声にあらわれるようなことがあってはならず、冷静にパイロットを誘導しなければならない。「冷静沈着な態度」は管制塔では不可欠だが、家庭ではあまり役に立たない。
このように、職場では適切なメタファーが、家庭では不適切になる場合もあることを、よく心得ていなければならない。

アンソニー・ロビンズの運命を動かす アンソニー・ロビンズ
職業上の習慣や言葉遣いが、家庭においてはむしろ関係を損なう要因となり得ることを教えてくれた。仕事で磨かれたスキルや態度も、場をわきまえずに用いれば、愛する人との距離を生む凶器となる。家庭は成果を競う場ではなく、心を通わせる場である以上、柔らかさや感情のやりとりが求められる。これは友人との関係でも同じこと。職場と家庭、友人との「文法」が異なることを自覚することは、円滑な人間関係を築くうえで不可欠であり、自らの表現を見つめ直すのもよいことだ。