“不用意な言葉”ほど残念なものはない
心に響いた一節を紹介します。
以前の私は、会社でうまくいかないことがあると、責任者に電話をかけて「非常に困ったことになった」「心配なことがあるんだ」「どうしてこうなったか、わかるか」という言葉を使って話していた。
しかし、(中略)、私にはそんなつもりはなくても、相手はどうしても守りの態勢に入ってしまい、問題解決のアイデアが出なくなってしまっていた。
そこで、これではダメだと考えをあらため、実際にはそれなりに気持ちが高ぶっていたとしても、「ちょっと気になることがあるんだけど、意見を聞かせてもらえないか」という言い方をするようにした。こうすると、まず私自身が落ち着きを取り戻す。これは私だけでなく、相手にとってもいいことだ。
「心配だ」と「気になる」とでは、意味合いがだいぶ違ってくる。「心配だ」と言うと、相手の能力を疑っているような印象を与えるかもしれない。また「ちょっと」とつけ加えることで、全体のトーンがやわらかくなる。
アンソニー・ロビンズの運命を動かす アンソニー・ロビンズ
問題解決には、新しい視点が必要だ。新しい視点には、落ち着きが必要だ。落ち着きには、時間が必要だ。そこで考え、表現する言葉を変えてみる。ここに出てくる「心配だ」は相手に向いている。「気になる」は自分に向いている。この違いだ。そして、最初につける言葉、日本には「枕詞(まくらことば)」といういい単語で表される。