“心の畑“にまいて大切に育てたい「感情の種」⑩貢献—「よりよく生きるためには、与えなければならない」

心に響いた一節を紹介します。
(前段略)私は運転しながら自問自答を繰り返していた。
「人生をよいものにするには、どうすればいいのか」
その時、ある考えが頭に浮かんだ。(中略)
その考えとは、「よりよく生きるためには、与えなければならない」というものだ。
自身の成長と可能性を追求することが大きな満足感をもたらすのは言うまでもないが、私の知る限り、「大切な人や見知らぬ人の人生経験に良い影響を与えた」という感覚ほど豊かな気持ちにさせてくれるものはない。
人間として生まれたからには、自分のことだけにかまけるのではなく、多くの人々の役に立ちたいという心を持たねばならない。
だが、自分を犠牲にしてまで人に尽くそうとしてはいけない。殉教者気取りと、人に役立つことは違う。しかし、人のために尽くすことで、自分の人生の意味を自覚できるなら、どんな大金や業績、名声、称賛の言葉にもまさる誇りと自尊心を持てるだろう。
自分が何かに貢献しているという感覚は、人生を意義深いものにしてくれる。すべての人間がそういう気持ちを育んでいったら、この世は素晴らしく住みよい世界になるだろう。
アンソニー・ロビンズの運命を動かす アンソニー・ロビンズ
人生の価値が「得ること」ではなく「差し出すこと」によって深まっていくという真理を、静かに、しかし確かな力で示している。自分の可能性を磨くことの大切さを認めつつも、人の歩みに良い影響を残したと実感できた瞬間こそが、心を最も満たすという点に心惹かれる。自己犠牲に陥る危うさにも触れ、健全な距離感の中で他者と関わる姿勢が示されている点も筆者ならではの視点と思う。何かに役立っているという感覚は、日々の営みに意味と温度を与え、人としての誇りを静かに育てる。この思いが広がれば、世界は確かに、より温かい場所へと変わっていくに違いない。そうなることを切に願うばかりである。まずは自分の身の周りからできる事をしてみよう。