自然とともに

こころに響いた一節をご紹介します。

春になれば花が咲き。秋になれば葉は枯れる。草も気も野菜も果物も、芽を出すときには芽を出し、実のなるときには実をむすぶ。枯れるべき時には枯れてゆく。自然に従った素直な態度である。特には何の私心もなく何の野心もない無心である。虚心である。だから自然は美しく秩序正しい。
困ったことに人間はこうはいかない。素直になれないし、虚心になれない。ともすれば野心が起こり、私心に走る。だから人々は落着きを失い。自然の理を見失う。そして出処を誤り、進退を誤る。秩序も乱れる。
(中略)
人間にとって出処進退その時を誤らぬことほどむつかしいものはない。それだけに、ときには花をながめ、野草を手にとって、静かに自然の理を暗示、己の身の処し方を考えて見たいものである。

松下幸之助 「道をひらく」

自然をながめ、このような境地に立てるのは、経営の神様たるゆえんだろうか。素直な心、虚心(心に何のこだわりももたずに、すなおであること。またそのさま。)になること。ゆっくりと、花をながめてみようか。