断を下す
心に響いた一節を紹介します。
ひとすじの道のひとすじに、ひたすら歩むということは、これもまたなかなか容易ではないけれど、(中略)
どうしようか、どちらに進もうか、あれこれととまどい、思い悩んでも、とまどい悩むだけではただ立ちすくむだけ。
自分ひとりなら、長い道程、時に立ちすくむこともよかろうが、たくさんの人があとにつづいて、たくさんの人がその道に行き悩んでいるとしたら、わかれた道をまえにして、容易でないとグチばかりこぼしてもいられまい。
進むもよし、とどまるもよし。要はまず断を下すことである。みずから断を下すことである。それが最善の道であるかどうかは、神ならぬ身、はかり知れないものがあるにしても、断を下さないことが、自他共に好ましくないことだけは明らかである。
人生を歩む上において、企業の経営の上において、そしてまた大きくは国家運営の上において、それぞれに今一度、断を下すことの尊さを省みてみたい。
道をひらく 松下幸之助
松下翁は、人生でどれくらいの断をくだしたのであろう。どれくらいの人が翁の断につづいたのであろうか。断をくださず留まることが、どれだけの停滞を生むか、そのことが、この文からもにじみ出ている。
やる、やらない、やらないことを決めることも断の一つ、特に上に立つものは、断を意識していかねばならない。