正常心

心に響いた一節を紹介します。
火事になればだれでもがあわてる。たいへんな非常事態で、だからなりふりもかまわず、他人の足をふんででも、まず火を消さねばならぬ。物を持ち出ねばならぬ。人の助けもかりねばならぬ。非常の場合には、非常の措置もやむを得ないのである。
戦後数年のわが国は、この火事以上の非常事態であった。だから非常の中の非常の振る舞い方や考え方が、次々とあらわれてきた。やむを得なかったともいえよう。しかしこれはあくまでも非常の中でのことである。火事がおさまれば、やはり他人の足をふむことはゆるされぬ。人の助けを借りることを、当然と考えるわけにも行かない。
正常にかえれば、正常の心がやはり求められる。(中略)正常心にかえるためには大きな勇気がいる。勇気を持って反省してみたい。ふりかえってみたい。そこに人としての道の始まりがあるといえよう。
道をひらく 松下幸之助
「非常事態」「特別警報」数年前まで耳にしなかった言葉が多く発せられる時代になったと痛感している。戦後の混乱期とは比べる土台が違うと思うが、まさに今「非常事態」のさなかにいる。考えられないような様々な対応がいたるところでなされている。正常にかえったときのことを少し考え、それに備えておく必要がある。

この「言葉」から

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