年の瀬
心に響いた一節を紹介します。
年の初めがあれば年の終わりがあるのはあたりまえで、(中略)一年三百六十五日の最後の締めくくりをつけておきたいと思うのであろう。
人間生まれた時があれば死ぬ時があるのはあたりまえで、だから死が近づいたのでいまさらあわてる必要もないのだが、さてとなると、やっぱりあれこれと気ぜわしくなる。年の瀬はむりやりにでも越せるが、生命の瀬はそんな具合にはゆかない。
年の瀬は、これを越してしてしまえば年の初めがある。しかし生命の瀬はそれでおしまい。誠に融通の利かない話である。
しかし融通が利かないからこそ、人はまた真剣にもなるのであって、融通無碍もいいが、融通のきかないことにもまた一得がある。
人はさまざま。事はさまざま。いろいろと気苦労なことであるが、人生の最後には融通のきかない一線があることを知って、つねひごろから心がけをよくしたいもの。
こんなことはわかりきったことだが、分かり切ったことだけに、何度も自分に言い聞かせておきたいものである。
道をひらく 松下幸之助
今年もあとひと月、本当にあっという間に過ぎ去った。1時間は60分、1日1440分、1年525600分。人間誰もがいつかは必ず死を迎える。その一線に向かって、時間が刻々と経っている、過ぎてゆく。この1分が、何倍にもなるように真剣になろう。心がけをよくしよう。きっといい年が訪れる。