しかも早く

心に響いた一節を紹介します。
ものごとを、ていねいに、念入りに、点検しつくしたうえにもさらに点検して、万全のスキなく仕上げるということは、これはいかなる場合にも大事である。小事をおろそかにして、大事はなしとげられない。どんな小事にでも、いつも綿密にして念入りな心配りが求められるのである。(中略)むかしの名人芸では、時は二の次、それよりも万全のスキなき仕上げを誇ったのである。
徳川時代の悠長な時代ならば、それも心のこもったものとして、人から喜ばれもしようが、今日は、時は金なりの時代である。一刻一秒が尊いのである。だから念入りな心くばりがあって、しかもそれが今までよりもさらに早くできるというのでなければ、ほんとうに事を成したとはいえないし、またほんとうに人に喜ばれもしないのである。
早いけれども雑だというのもいけないし、ていねいだがおそいというのもいけない。念入りに、しかも早くというのが、今日の名人芸なのである。
道をひらく 松下幸之助
部下や後輩に任せた報告書類を見たときに、誤字や脱字を前にその先を読む気がしなくなったことはないだろうか。たったひとつのミスもその資料全体の価値を損なってしまう。渡したものを使う人の身になって丁寧さを怠らず、なるべく早くお届けしたいものである。それが見えない信用に繋がっていくものである。名人芸を意識したい。

この「言葉」から

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