本領を生かす

心に響いた一節を紹介します。
完全無欠をのぞむのは、人間の一つの理想でもあり、また、ねがいでもある。(中略)だがしかし、人間に完全無欠ということが本来あるのであろうか。
松の木に桜の花を求めるのはムリ。牛に馬のいななきを求めるのもムリ。松は松、桜は桜。牛は牛であり馬は馬である。つまりこの大自然はすべて、個々には完全無欠でなくても、それぞれの適正のなかでその本領を生かし、たがいに与え与えられつつ、大きな調和のなかに美とゆたかさを生み出しているのである。
人もまた同じ。おたがいにそれぞれに完全無欠でなくても、それぞれの適性のなかで、精いっぱいその本領を生かすことを心がければ、大きな調和のもとに自他ともの幸福が生み出されてくる。この素直な理解があれば、おのずから謙虚な気持ちも生まれてくるし、人をゆるす心も生まれてくる。そして、たがいに足らざるを補い合うという協力の姿も生まれてくるであろう。男は男、女は女。牛はモーで馬はヒヒン。繁栄の原理はきわめて素直である。
道をひらく 松下幸之助

互いの個性を大切にすることで、大きな調和が生まれ、さらに大きな幸福が訪れる。人間の能力には限界があり、もって生まれたものがある。自分にもっていない他人のものを理解し、謙虚に素直な気持ちをもち、人をゆるす心を生み出すことができれば、争いはなくなります。相手のいいところ探しを始めてみよう。

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