ものの道理

心に響いた一節を紹介します。
人間おたがいに落着きを失ってくると、他人の庭の花が何となく赤く見えてきて、コツコツまじめにやっているのは自分だけ人はみなぬれ手でアワ、ラクしながら何かボロイことをやっているように思えてならなくなる。(中略)
人情として、ときにこんな迷いを持つのもムリはないけれど、この世の中に、決してボロイことはないのである。ラクなことはないのである。あるように見えるのは、それはこちらの心の迷いで、本当は、どなたさまも、やはり一歩一歩地道に積み重ねてきた着実な成果をあらわしておられるのである。
だから、努力もせずにぬれ手でアワみたいなことをやってみても、(中略)一時はそれですごせても、決して長続きしない。結局は失敗ということになる。これが、ものの道理であって、この道理をはずれた望みを持つというのは、それこそ欲が深いというものである。
欲が深いは、失敗のもと。やはり、ものの道理に適した道を、一歩一歩あゆんでゆきたい。
道をひらく 松下幸之助

コツコツ、一歩一歩、いずれも私の好きな言葉だ。高い目標も一歩の歩みから。少しでも、わずかでも進むことが結果に結び付く。楽なことをうらやむことはこちらの心の迷いと説かれた。
迷いなく信じて行こうこの一歩から。きっと、その歩みを見ている人がいる。勇気づけられた。

この「言葉」から

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