乱を忘れず
心に響いた一節を紹介します。
景気がよくて、生活も豊かで、こんな姿がいつまでもつづけば、まことに結構である。しかし、おたがいに人生には、雨の日もあれば、風の日もある。(中略)ところが、世の中が落ちついて、ある程度景気もよくなり、生活も向上して、いわゆる安穏な毎日がつづくようになると、いつしか、この世の中の実体を忘れ、人生のあり方を忘れて、日を送る。
それですむなら、それでもよかろう。しかしいつかは台風が来、あるいは不景気の波が立つ。そのときになっても、はたして昨日にかわらぬ泰然の心境でいられるか、どうか。
いついかなる変事にあおうとも、つねにそれに対処してゆけるように、かねて平時から備えておく心がまえはほしいもの。「治にいて乱を忘れず」である。(後略)
道を開く 松下幸之助
まさに今、今まさに、「乱」の非常事態。数か月前を思い出すと、それが平時、「治」であったことが痛いほどよくわかる。戦争にも匹敵する今回のコロナ禍、翁も想像していなかったことであろう。
平時に利益を積み上げて計画的に経営をしてきた会社。自転車操業で何の手立てもなく毎日を過ごしてきた会社。アリとキリギリス。やはり会社経営は「アリ」でなければならない。そして一日も早く平時に戻ってもらいたいと願うばかりである。